狩りする豹です。
昨日のブログでうねり取り、リズム取りについて軽く触れたことがありました。今日はこれについて少し考察していきたいと思います。
相場師の世界は基本一人でやるもので協会や団体があるわけではありません。そこで使われる言葉も人によって少しづつ意味が異なることがあります。それがいろいろな人の本を読む際に混乱をきたす原因の一つになります。いまだに「逆張り」「逆迎え」「高い日の翌日には買わない」の意味がはっきりとらえられていません。
そのような言葉の一つに「うねり取り」があることに気が付きました。
立花さんと林先生のうねり取りの意味が異なるのです。結論から言うと、林先生は3か月程度の長期の売買のみをうねり取り、と呼んでいますが、立花さんは週間程度の短期のうねり(リズムという人も)と三か月くらいの長いうねりも両方ともうねり取りと呼んでいます。
林先生の場合は
「ついでに利益と回転について述べておく。
200円幅の往来をみせている株があるとする。値ごろは500円~700円でも、600円~800円でもよい。(中略)
上げ三か月 下げ三か月 計六か月
上げ三か月 下げ三か月 計六か月 総計12か月
であるから三か月工程4回で一年が終わる。(中略)
つまり、きわめてゆっくりとした売買なのである。P115」
つまり、分割売買をしなければ年間8回(4回の売り買い)しか注文を出さないということなのだ。
一方立花さんは
「P228
当時のパイオニアの値動きは、安値105円(40年6月)、高値365円(41年3月)でしたから高安の幅は260円です。私は1年間で2000万円以上の利益を上げたわけです。(中略)私は試し玉だけで投げることも多かったですし3万株を限度度していましたから、株数を逆算しますと、700円幅以上取ったことになります。
つまり、グラフの上では260円幅ですが、実際には700円以上の幅を取ったわけです。いかに逆張りによる一銘柄の売買が有利であるかがお分かりいただけるでしょう。」
この文章でまず注意すべきは「グラフの上では260円幅ですが、実際には700円以上の幅を取った」ということ。これは大きなうねりで260円の値巾をとれた期間に立花さんはその3倍くらいの利益を上げているということ。
この差は三か月よりも短い周期のうねり(後述のリズム)を積極的にとっていったことによるものであると思われる。
もともと立花さんの相場の原点は仲買店のおじいさんの言葉
「P46 そして自分の力でやってみることだ。たとえば、今の逆向いを『下げの二日目から買い下がりを始める』、『三日目も安ければかい、戻ったらいったん売り』というふうにね。どれを2~3回やってごらんなさい。納得いくから・・・」
を実践したことからスタートしているので今でいうスイングトレードのはず。
上達の過程の中で、「根の玉」という言い方で短い周期の売買のほかに長期のうねりを取るやり方を身につけられたようです。
「P259 2465円の高値から45年6月の543円まで七か月が一応の下げでした。
この下げに乗ったのはたった一万株ですが、それは根の玉(基本の玉のこと)であって、戻りでは三万株増加させ、安値ではツナギの階高を入れたり、売り玉を手仕舞ったりして上手に泳ぎました。
(中略)安値では手仕舞うわけですが、“根の玉”は残します。
このように根の玉を維持していくことを“寝かせる”ということもあります。まさに適切な表現です。」
「P188 読者の皆さんは、この一年半の間に建玉がマルになったのが12回もあることに驚かれたことでしょう。そして比較的大きい玉を長持ちしたのは、37年4~5月の(20-)、同年5~8月の(30-)、同年11~12月の(20-)、38年1~3月の(20-)の四階です。このうち1回は二か月ですが、あとは三か月で粘っています。つまり、玉の長持ちをしながら、途中でゼロを何回もつくり、およいでいるわけです。
」
林先生は繰り返し「上げ三か月 下げ三か月」といううねりの周期について言及されていますが、まさに立花さんの長持ちの期間と一致しています。
立花さんは、分割仕掛け、一括手仕舞いからスタートして利を伸ばすために粘りを覚え、それをさらに長期トレンドに合わせて根の玉を持つように技量が進化していったのかもしれません。
立花さんはツナギを多用していますが、その目的はこの長いスパンを取りに行くときの大きな建玉の維持のため、という事になります。
うねり取り、リズム取りに関して例えば下記のような人が考察しています。内容にすべて同意しているわけではありませんが、一つの見解だと思います。
<株投資日記> スロー投資で年20%を:うねりとりとリズム取り - livedoor Blog(ブログ)
長期のうねり取りは効率という点ではやはりリズム取りより悪くなるようです。
「2465円の高値から45年6月の543円まで七か月が一応の下げ」期間の自分の売買を評して立花さんは
「P260 ただこういった売買手法の経過としては最高の出来だったというだけであって、玉の回転とか利益という面から見れば、前に説明した上げ途上で行った売買のほうがはるかに効率的でした。」
という事を振り返っています。持ち玉制限をすべてリズム取りに振ったほうが効率は騰がるという事だと理解しています。
豹は師匠の立花さんと同じく短期のうねり(リズム)取りを主体としながら、並行して長期のうねり取りを根の玉という形でとっていこうと思っています。
いましたが、今回の気づきでまだ”粘り”というものを習得していないな、という事に気が付きました。段階を飛び越えて次のステップに行ってもいいことはないらしいので試案のしどころです。
今日はこの辺で。ここまでお読みいただきありがとうございました。m(__)m
ps。
立花さんが愛したパイオニアですが、上場廃止が決まっており、現在は64-65円でほぼ固定した価格になってしまっています。なんかちょっと寂しいですね。