立花語録9 相場技法 奥の手「つなぎ」とはリスクを低減する手法

狩りする豹です。

 立花さんが、商品相場の仲買店のおじいさんの言葉
買う方法は分けて買うんです。ナンピンでもよい。それは自分で決めなさい。ヒントは、昔から言う『ナンピン三分の一』『乗せは三分の一』『ツナギは三分の一』ですよ

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 ナンピンと乗せについてはすでに投稿してあります。

 

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 現在はまだナンピンは封印しており、まだ実施したことはありません。そろそろ売買回数が10回を超えますのでこの封印を解くころなので、立花さんがナンピンについてどのようなことをおっしゃっているのか整理してみました。
乗せに関しては非常に保守的でリスクを抑える立場なのが立花さんですが、ツナギはもともと(少額のコストをかけて)リスクを低減させる手法なこともあり積極的な立場です。

P173

「ツナギは保険つなぎ、利益確保のつなぎ、ドテンのためのつなぎなど、理論的にはいろいろ解説されていますが、私は、”本玉維持のための反対玉“という実用的な解釈をしています。」

 

P174

「ツナギは安定した売買、というより安定した利益を確保するための必要な技法です。しかし知っているだけでは役に立たず、できなければなりません。そして、多くのやり方のうち一つか、せいぜい2~3の技法、あるいはそれから派生した自分に合ったものだけに限ることが大切です。」

 

P175①

「こういった感覚(相場の強弱の感覚)を得るためならば、試しの売り玉を入れるのもよいでしょう。たとえば、1000株売ったならば残玉は(1-10)ですが、これでもよいはずです。そして、ダメだったらすぐに手仕舞うのです。上げの途中で10回ツナギ売りをして損が出ても、玉が少ないのですからたいしたことはありません。それは、本玉1万株を維持するための“必要経費”なのです。」

 

P175②

 「試し玉を何回かやっているうちに、これまでと違った感覚になってきたら、ツナギ玉をふやしてみます。(5-10)は5000株の売りの一万株の買いというポジションですが、バランスとしては差し引き5000株の買いで、半分手仕舞ったのと同じ状態です。

 しかし、明らかに違っているのは本玉を維持していることと、いつでも元の状態に戻れるという事です。このポジションは、半分だけ利益を確保するといってもよいでしょう。そして 10,000株――10,000株 となったら、完全に手持ち株の利益確保の状態といえます。

 このあと下げに移れば、一万株の買い玉を手仕舞い、一万株の売り玉を残します。ここで一万株の売り玉はツナギ玉としての性質を変え、下げをとるための思惑の玉に変化したことになります。

 この買い玉の利食い、というより新しいポジションを作る操作を天井圏内でできれば、理想的なドテンをしたことになります。しかし、理想的なドテンが果たして一生のうち何回できるでしょうか。ツナギ玉があるのですから、天井を相当過ぎてからでも十分間に合いますし、それが現実でしょう。」

 

 なんぴんや乗せというのは比較的初心者にも、できるかどうかは別にして理解しやすいものなのですが、ツナギは不思議なものに見えます。

「1万株を持っていて2千株のツナギを入れた場合と2千株を売って手持ち8000株にした場合と何が違うのか。手数料はツナギをしないほうが有利なはずだが。」
豹も初めてつなぎという技法を知った時にはこのような疑問を持ちました。 

現在の豹の解釈ですがツナギを入れることでのメリットは

・玉、ポジションの操作がやりやすくなる。
・ポジションを大きくとった時の心理的圧迫を軽減できる

ではないかと考えています。経済的合理性ではなくて内的なメリットがあるのではないかと。

立花さん自身は”本玉維持のための反対玉“という見方を重視しているので心理的なメリットを重視しているようです。

事例として挙げているP175 の①の部分が本玉維持のための反対玉としての役割ですね。上げ相場で1万株の手持ちに対して1000株の反対玉は手数料を除けば持っている間の上昇幅の10%がロスになるわけですが、それほど高額の必要経費というわけではないでしょう。

p175の②の部分は「保険つなぎ、利益確保のつなぎ、ドテンのためのつなぎ」のわかり説明例になっています。これは一連の売買の中でツナギの意味合いが変化していっていることを説明しています。

 

これを踏まえたうえで解釈が困難なのがp174 の記述

「多くのやり方のうち一つか、せいぜい2~3の技法、あるいはそれから派生した自分に合ったものだけに限ることが大切です。」

一連の売買の中で「本体維持、保険つなぎ、利益確保のつなぎ、ドテンのためのつなぎ」のすべてが出てくる説明をしているのに、「どれかに限れ」という教えをしています。一連の売買の中で一通りのつなぎがでてくるのにどれかに限れ、というのはどういう意味なのか。
 反対玉のつなぎを1枚⇒50%⇒全量と変化して入れていくことは説明例からすれば自然で必須であるはずなのに、どれかに絞れと。たとえば保険つなぎだけに絞るのであればつなぎを0から50%程度を一挙にかける必要があります。それは不自然。
おそらく立花さんが言わんとしていることは本命の意味合い以外の他の役割は補助的に考えなさい、という程度に今は解釈しておきます。立花さんは本体維持というフェーズを重要視していると言事だと思います。

 

 現在の豹の投資制限では「買いは6枚、売りは10枚まで」としています。
ツナギはどうするか。ツナギを入れたものはリスクがないのと一緒なので差分と考えればいいとします。(総枚数規制も必要ですが、そこまでツナギはしないと思いますので)

p174
「私は以前にも説明したように、反対玉をたてるならば本玉を手仕舞ってしまうという、箔区切りをつけるやり方を続けていた」

というのはまさに現在の豹の状態です。今後はツナギをいれることでねばりを出すことも考えていきたいと思います。

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具体的な利用方法を上図に説明します。簡単な例として1枚づつの買い⇒売りで説明します。

まずA点で1枚仕込みます。買値700円

B点1000円まで上昇した時にそろそろかな、と思った場合は通常はここで現物売りをして300円の利益。めでたしめでたし、で終わります。

その代わりここでは一枚空売りを入れて1-1の状態にします。

そのあと、相場が上がっても下がってもつなぎを軸に対応していきます。

上昇してC1になったら買いを外して1-0にします。
・売りの手仕舞いのねばりを見せて利幅を300⇒500に伸ばせませた。
・下げを狙うドテンをした空売りをもつ。
  #逆行しているので200の含み損を持っていることは注意。
  #あるいは200の利益を空売りのほうに利益を乗せて考えてもいい。
下降してC2になったら空売り手仕舞い利幅150をとる
・購入価格を700⇒550に下げたと解釈してリスクを下げる。

実戦では

・C1の時に現物で売るとともに空売りを入れてナンピンをする
・C1の後もさらに上がりそうならば両方とも切って0にする
などいろいろ対応が考えられると思います。

以上でツナギの解説は終わりになります。これで立花さんの示している技法は主要な部分は取り上げたことになると思います。もちろん、現段階での豹の解釈です。

 

ナンピン三分の一、乗せは三分の一、つなぎ三分の一」

相場技法の骨子は結局これなんですね。

 もちろん実戦で活用するためには、判断基準、玉の操作基準が伴わなければいけません。立花さん自体は初期のころは酒田新値を数えるなど具体的な手法を採用してきましたが、相場技術というか相場感覚が研ぎ澄まされていくにつれて具体的な手法からはずれました。判断基準、玉の操作基準の代わりに相場の強さ弱さを知る相場感覚を頼りに相場を乗り切っていったという事だと思います。

豹の現在は、一次近似線、上下抵抗線、75日移動平均線、酒田新値など多数の指標や手法を使っています(中源線も研究中)。そのうち慣れてきたらだんだんに捨てていくことになるのでしょうか。


今日はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました。